慢性腎臓病(CKD)ってどんな病気? 元気でも放置できない理由を専門医が解説

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のぼじん|腎臓内科専門医 | CKDガイドラインシステマティックレビュー委員

医学論文や診療ガイドラインに基づいた情報発信を大切にしています。CKDと向き合うには、検査値を知ることに加えて、食事・運動・服薬・通院などを生活の中で続ける工夫も大切です。このブログでは、CKDの検査値の見方や生活習慣の考え方、努力だけに頼らず行動を続けるための仕組みを、専門医の立場から一緒に考えていきます。

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「腎臓の数値が悪い」と言われたけれど、元気で体調も特に変わらない——この記事を読めば、慢性腎臓病がどんな病気なのか、そしてなぜ症状がなくても放置してはいけないのかがわかります。

相談者さん

健診で腎臓の数値が悪いと言われて不安できました。

のぼじん

それは不安になりますよね。
まずは慢性腎臓病がどのようなものか一緒に確認していきましょう。

こんな経験はありませんか?

健康診断で「腎機能が少し落ちている」と書かれていた

かかりつけの先生に「腎臓の数字がよくない」と言われた

でも体は元気だし、痛いところもない

「本当に病気なの?」とピンとこない

この記事では、そんなあなたの疑問を解決します。

この記事では、そんなあなたの疑問を解決します。

  1. 慢性腎臓病(CKD)ってどんな病気? — 実は成人の5人に1人がかかっています
  2. なぜ元気なのに放置できないの? — 腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれる理由
  3. まず何をすればいい? — 「知る」こと自体が治療の第一歩になります

腎臓内科専門医として、日々の外来で患者さんに最初にお伝えしていることをまとめました。

目次

慢性腎臓病(CKD)とは? — 成人の5人に1人がかかっている

CKDは一つの病名ではない

慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)は、特定の一つの病気の名前ではありません。原因にかかわらず、腎臓の異常が慢性的に続いている状態をまとめた呼び方です。

日本腎臓学会の『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』では、次のように定義されています。

① 尿異常、画像診断、血液検査、病理診断で腎障害の存在が明らか、特に0.15 g/gCr以上の蛋白尿(30 mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要

② GFR<60 mL/分/1.73 m²

①、②のいずれか、または両方が3カ月を越えて持続することで診断する。

GFRは、腎臓が血液をこし取る力を表す数値です。つまりCKDとは、腎臓の異常、または腎機能の低下が3カ月を越えて続く状態の総称です。

ここで大切なのは、腎機能が低下した場合だけがCKDではないことです。腎機能が保たれていても、蛋白尿など腎臓の異常が続いていればCKDに該当します。

「慢性腎臓病」と聞くと、特別で重い病気のように感じるかもしれません。しかし、日本では成人の約5人に1人がCKDを有するといわれています。決して珍しい病気ではないのです。

慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)とは、腎臓の働きが慢性的に低下している状態、または腎臓に何らかの異常が続いている状態を指します。

「慢性腎臓病」と聞くと、特別で重い病気のように感じるかもしれません。しかし、日本では成人の約5人に1人がCKDを有するといわれています。決して珍しい病気ではないのです。

IgA腎症や膜性腎症もCKDの原因になる

IgA腎症や膜性腎症は、腎臓に異常を起こす病気の名前です。一方、CKDはその原因を問わず、腎臓の異常が慢性的に続く状態を表します。

たとえば、IgA腎症による蛋白尿が3カ月を越えて続けば、「IgA腎症を原因とするCKD」と考えます。膜性腎症も同じです。IgA腎症や膜性腎症とCKDは別々の病気として対立するものではなく、原因となる病気と、その結果として続いている状態という関係です。

CKDの原因には、IgA腎症などの腎炎、遺伝性の病気、薬剤による腎障害など、さまざまなものがあります。糖尿病や高血圧も、その重要な原因です。

生活習慣病を原因とするCKDが増えている

腎臓がとても悪くなると透析という治療が必要になってきますが、上の図は透析が必要となった原因をみたものです。

みていただくとわかるように、最近は糖尿病性腎症や腎硬化症と呼ばれるタイプが多くなっています。糖尿病性腎症は、糖尿病が原因で腎臓が悪くなる病気です。腎硬化症は、高血圧や加齢、肥満、脂質異常症などによる動脈硬化が原因で起こります。

このように、特別な腎臓の病気というよりも、生活習慣の積み重ねの結果として腎機能が落ちていくケースが多いのです。

つまり、CKDは「ある日突然かかる病気」というよりも、長い年月をかけて静かに進んでいく病気です。だからこそ、早い段階で気づくことがとても大切になります。

CKDは成人の約5人に1人が該当する、決して珍しくない状態です。原因を問わず慢性的な腎障害をまとめた概念で、CKDの原因として、糖尿病性腎症、IgA腎症や膜性腎症などの多くの腎疾患があります。

なぜ”元気”なのに放置できないのか — 腎臓は沈黙の臓器

症状がないのに、なぜ大事なのか

CKDの最大の特徴は、進行してもなかなか症状が出ないということです。

外来では、患者さんから「痛くもないし、しんどくもないから大丈夫です」と言われることが少なくありません。お気持ちはとてもよくわかります。体に異変がなければ、「本当に通院が必要なの?」と疑問に思うのは自然なことです。

しかし、ここがCKDの怖いところです。

腎臓は 「沈黙の臓器」 と呼ばれています。腎機能がかなり落ちるまで、だるさや食欲低下、吐き気といった自覚症状が出にくいのです。症状が出る頃には、すでに病状がかなり進行していることを意味します。

つまり、「症状が出てから病院に行こう」と思っていると、気づいたときには選択肢がかなり限られている——そういうことが起こりうる病気です。

「症状がない=大丈夫」ではありません。

CKDは症状が出る前に検査で見つけ、早めに対策することが重要です。

CKDの認知度は低い

海外の研究ですが、中等度の腎機能低下がある患者さん達(CKDのステージ3)でも「自分は腎臓が悪いと言われたことがある」と答えた人は10%もいなかったという報告があります。

日本にそのまま当てはめることはできませんが、CKDの認知度が低いことを示す象徴的なデータです。多くの方が、自分の腎臓に問題が起きていることに気づいていないまま過ごしている可能性があるのです。

知ることが治療の第一歩 — “病気を知る”だけで腎機能低下が抑えられる

病気を知ることは、立派な「治療」

ここまで読んでくださった方は、CKDについて理解が深まったのではないでしょうか。

実は、病気について知ること自体が、腎機能の低下を抑えることにつながるということが研究で示されています。

皆様がCKDについて理解し、自分の病状を正しく把握することが、腎臓病の進行をおさえることにつながるのです。

なぜ「知る」だけで変わるのか

理由はシンプルです。

病気の仕組みや対策の価値がわかると、人は自然と行動を変えられるからです。

「塩分を控えましょう」と言われても、なぜ塩分が腎臓に影響するのかがわからなければ、なかなか続きません。

しかし、「塩分を控えることで腎臓の悪化を緩やかにできる」と理解できたら、「それなら少し気をつけてみようか」と思えるのではないでしょうか。

一緒にCKDについて学び、腎臓病の進行を抑えませんか?

しかし、記憶は薄れていく

一方で、気をつけたいことがあります。

CKDと診断された直後は、多くの方が「腎機能が下がっている」「将来、透析になるのではないか」と不安を感じます。しかし研究によると、時間が経つと「たいしたことない」「生活に支障のないもの」と認識が変わっていく傾向があることがわかっています。

症状がないだけに、一度聞いただけでは危機感が持続しにくいのです。

だからこそ、定期的にCKDの情報に触れることが必要です。

そのためにこのブログを使ってもらえばと思います。

「知る」→「わかる」→「動ける」

ソクラテスの有名な言葉に、「何が善であるかを知って、悪をなすものはいない」というものがあります。

少し大げさかもしれませんが、本質は同じだと考えています。

病気について正しく知ること、その対策の価値がわかること。それが、食事に少し気をつけてみよう、検査を受けてみよう、という行動の原動力になります。

まとめ — 症状がない今だからこそ、知ることに意味がある

慢性腎臓病(CKD)は、成人の5人に1人がかかっている、決して珍しくない病気です。

しかし、最大の特徴は症状が出にくいこと。「元気だから大丈夫」ではありません。症状がない今だからこそ、病気について知り、定期的に検査を受けることに大きな意味があります。

知ることは、治療の第一歩です。

この記事を読んでくださったあなたは、もうその第一歩を踏み出しています。

今日からできること3つ

  1. 自分の健診結果を見返す — 見逃していたけど、「実は病院受診するように書かれていた」なんてことはないですか?
  2. 次の健診・外来で「腎臓の数値」を医師に聞いてみる — 普段医療機関に通院している人は、「この前の検査の結果、私の腎臓の機能はどうでしたか?」と、かかりつけの先生に聞いてみるのはどうでしょうか。
  3. 健診や人間ドックを受けてみる — 腎臓が悪くなってきていることは、すぐには体が教えてくれません。今、定期的に検査などを受けていない人は健診や人間ドッグを申し込んでみるのはいかがでしょうか。検査結果が今の状態を教えてくれますよ。

参考文献

  • 日本腎臓学会編. エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023
  • 慢性腎臓病の発症・進展に関するヘルスケアサービスやデジタル技術介入に関する指針
  • わが国の慢性透析療法の現況(2024 年 12 月 31 日現在)
  • Patient Awareness in Chronic Kidney Disease Trends and Predictors.Arch Intern Med. 2008, 168, 2268-75. doi: 10.1001/archinte.20.2268.
  • The interaction between self-care behavior and disease knowledge on the decline in renal function in chronic kidney disease. Sci Rep. 2021, 11, 401. doi: 10.1038/s41598-020-79873-z.

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